J1ビザで派遣される研修社員の米国内での給与について
・アメリカ労働法の観点
・J1ビザで派遣される研修社員の給与設定
最近は、J1ビザを利用して日本本社や関連会社の若手社員をアメリカの現地法人などに派遣する法人研修のニーズが高くなってきています。
人材育成のグローバル化の一環として、社内の研修制度として導入している日本企業も増えてきていますが、他国と比較すると、日本は、まだまだグローバル化の人材育成が遅れている状況でもあります。
社員をアメリカに派遣し、現地法人で研修させたいということで、私は人事担当者の方とやり取りをさせていただく機会があるのですが、その中で、よくあるご相談としてとても多いのが、アメリカで研修期間中の派遣社員の給与額を、どのように設定すればよいか?ということです。
このブログでは、アメリカへ派遣される法人研修社員の給与設定や、アメリカJ1ビザの給与規定に関して、解説したいと思います。
アメリカJ1ビザの給与規定とアメリカ労働法の観点
大前提として、J1ビザは就労ビザではないのですが、これはアメリカ移民法の規定になりますので、アメリカの労働法とは解釈が異なってきます。
労働法の観点からは、J1ビザであっても企業の事業に貢献し、労働力の一部になりうるということから、その労働力に対する対価は支払われるべきであるという解釈になっています。
そのため、J1ビザの給与支給に関しても、主に以下のような規定に沿って、給与設定していただくことになります。
・オフィスがある州や市、カウンティの労働法が適用されるため、労働法に遵守すること
・労働法を遵守して、オフィスがある市やカウンティの最低賃金以上の給与を支給、残業した場合には、残業代金を支給すること
・現地従業員と同様、Payrollシステムを利用し、給与を支給しなければいけない=個人事業主などの処理(Form1099)はNG
・アメリカでの研修期間中、日本のみで給与を支給して、アメリカでは給与を支給しない(無給)という方法は、
アメリカ労働法の観点から不法労働の扱いで違法となるため、注意が必要
(万が一、不法労働で労働局から摘発があった場合には、現地企業が多額のペナルティを支払うことになる可能性がある)
アメリカへ派遣される法人研修社員の給与設定
では、派遣社員のアメリカでの給与額をどのように設定するのがよいでしょうか?
上記のように、アメリカ労働法の観点から、オフィスがある市、エリア、カウンティの最低賃金以上の給与額を支給する必要があります。
実際にアメリカで法人研修を行なっている日本企業の給与設定の例をあげると、以下のように、日本とアメリカの両国で給与を支給するパターンと、アメリカのみで給与を支給するパターンがあります。
例1:
日本:日本の厚生年金保険を継続加入するために必要となる標準報酬月額以上を支給
アメリカ:研修するオフィスエリアの最低賃金額以上を支給
例2:
日本:給与支給なし
アメリカ:研修するオフィスエリアの最低賃金額以上を支給
どちらの方法がよいかは、企業での方針や社内規定などもありますので、アメリカでの規定や法律を遵守していただいたうえ、給与支給方法を検討していただくとよいと思います。
ということで、このブログでは、J1ビザで派遣される社員のアメリカでの給与支給について、お話しをさせていただきました。
J1ビザを利用したアメリカでの法人研修、日本からアメリカ現地法人への社員派遣に関するご相談がございましたら、お気軽にお問い合わせください。